カウンセリングに終わりはあるのか──本来の自分を思い出す旅

カウンセリングを受けはじめると、
「これはいつまで続くのだろう」
そんな思いが胸に浮かぶことがあります。

その中には、時間のことだけでなく、
「続けられるだろうか」という金銭的な心配も含まれているかもしれません。
新しい扉の前で、しばらく立ち止まってしまうような様々な不安が入り混じった感覚です。

けれど、心の旅には“終わりのない長距離レース”ではなく、
“必要なときに訪れる場所”という側面があるのだと、私は思うのです。


本来の自分が見えてくるということ

カウンセリングを続けていくと、
自分が本当はどうしたいのか、
どんなふうに感じているのか、
その輪郭が少しずつ浮かび上がってきます。

これは、京都こひつじ相談室で提供している来談者中心療法(PCT)で得られる大切な変化でもあります。
自分の内側にある声が、ようやく自分自身に届きはじめる瞬間です。

私たちは子どもの頃から、
自分を守るために、知らず知らずのうちに“鎧”を身につけてきました。
その鎧は必要なものでしたが、いつしか重くなり、
本来の自分を見えにくくしてしまうことがあります。

悩むという状態は、
その重なった鎧が中にいる本来の自分を見えづらくしてしまっている状態なのかもしれません。


鎧の隙間から見えるもの

カウンセリングは、無理に鎧を脱がせるものではありません。
重ね着した鎧の“隙間”を一緒に探し、
そこから見える本来の自分の姿を、そっと確かめていく時間です。

自分の声が聞こえたとき、
その声にうなずけたとき、
心の奥にある小さな光が、またひとつ輝きを取り戻します。

そしてその瞬間、カウンセリングはひとつの区切りを迎えます。


終わっても、終わりではない旅

ただ、人生は続いていきます。
時間が経つと、また新しい悩みが生まれたり、
気づかないうちに再び本来の自分を見失ったりすることもあります。

そんなときは、またカウンセリングを受けてもかまいません。
けれど、一度“本来の自分にたどり着いた経験”があると、
その経験は確かにあなたの中に残り、
自分一人でもその場所へ戻っていく力が育っています。

私自身、そうした経験を重ねてきました。
だからこそ、カウンセリングは「終わりのある支援」でありながら、
必要なときにまた戻ってこられる、
そんな“心の休息地”のような存在なのだと思うのです。

心の旅は、まっすぐではなくていいのです。立ち寄れる場所があるだけで、人はまた歩き出せます。